ちょっとそこまで-斥候隊-

Spare me your lecture.

12月の記憶は色褪せないか。

 12月の某日にまたひとつ歳をとった。歳を追うごとに誕生日に特別な感情は抱かなくなってる。ケーキが食べたいあれが欲しいなんて思ってた時がちょっぴり懐かしくて、小学生くらいの子にそれを投影してはあの頃に戻りたい気が湧いてくる。


 昔は12月がとにかく好きだった。だったではなくて今も実は好きだけれど、イベント事が多いから11月が早く終わらないかななんていつも思ってた。外に出れば吐息も白くなり、街路樹も葉が落ち寂しくなる。でも、街はクリスマスを迎える用意で少し慌しくなる。年の瀬なんて子供の頃はあまり感じなかったけど、街が暗く静まり返る様子は新しく年を迎える準備としては素敵に映る。


 今年も一年早かったななんて思いながら年を越すんだろう。昔から記憶はいい方ではないからなんとなく寂しい。今年一年起きたことを細部まで覚えていられるかって。


 そういや昔、誕生日プレゼントで変なマスコットのキーホルダーみたいなのを貰ったっけ。あれは学校でのことだったか外で貰ったのか記憶が定かじゃない。いろいろ昔話をしてたら凄く懐かしくて馬鹿でどうしようもなかったけど、なんとなくカタチに残せればよかったのに。とふと思った。


 記憶することがあまり得意ではないからこそ余計そう思うのかななんて、無くしたキーホルダーのおぼろげなフォルムをなんとなく思い出しながら誕生日の日の帰り道に思った。


 記憶は美化される。でも12月は毎年いつも通りの顔してやってくる。


 そのたびに歳をとるんだけど、12月は嫌いになれない。新しい年を迎えるための月。後少しだけど忘れずに過ごして生きたい。